Hokkaido Centennial Memorial Tower Fun

新しい歴史教科書をつくる会副会長
藤岡信勝先生 北海道を厳しく批判

 

 
 

「新しい歴史教科書をつくる会」副会長で元東大教授の藤岡信勝先生が、9月14日の産経新聞「正論」で、北海道百年記念塔の解体を進める北海道を厳しく批判しました。
 
藤岡先生は、自虐史観に染められた歴史教科書の改革を訴えて新しい歴史・公民教科書の制作を目指し、平成8年に西尾幹二先生等と「新しい歴史教科書をつくる会」を結成し、自ら筆頭執筆者となりました。
 
藤岡先生は、岩見沢生まれ、標茶育ちの生粋の道産子。北海道開拓、そして開拓の象徴である北海道百年記念塔の意義をよく知る一人です。
 
東京で活躍していた藤岡先生が北海道百年記念塔解体を聞いたのは今年の夏。百年記念塔保全を求める北海道5区の衆議院議員和田義明先生からの案内でした。
 
和田先生の働きかけで、青山繁治先生が会長を務める「日本の尊厳と国益を護る会」が北海道百年記念塔保全に向け立ち上がると、同会の幹事長である山田宏先生は杉並区長時代に多くの反対に抗して「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を採用。古くからの戦友でもある山田先生の呼びかけで8月31日に行われた護る会の北海道百年記念塔の現地視察会と道との意見交換会にも参加されています。
 
下記は、現地視察会を受けて先生が産経新聞に寄せた論考です。日本を代表する保守派の重鎮が故郷北海道に寄せる想いに触れてください。
 
 

北海道百年記念塔視察会後、道との意見交換会で発言される藤岡先生

 
 

北海道開拓の歴史を抹殺するな

 
北海道の球団、日本ハムファイターズは新千歳空港内に「北海道は、開拓者の大地だ。」というフレーズの広告を出した。フロンティアと野球選手のチャレンジ精神を結びつけたのだ。
 
ところが、アイヌ団体からの抗議で球団は広告を撤回し謝罪してしまった。7年前、2015年の出来事だ。当時すでに「開拓」を禁句とする「閉ざされた言語空間」が北海道内につくられていたことをこのエピソードは物語る。
 

北海道百年記念塔の解体

札幌市と江別市、北広島市にまたがる道立野幌森林公園に、北海道百年記念塔という美しい建造物が立っている。蝦夷地が北海道と改称された1869年(明治2年)から100年を記念して企画され、1970年に完成した。
 
設計コンペの結果、299作品の中から採用された井口健氏のデザインは、見事な幾何学的曲線からなり、高さは100メートル。北海道開拓に血と汗を流した祖先への感謝と慰霊、そして明るい未来を展望するという建設の趣旨は道民に支持され、総工費5億円の半分は道民の寄付でまかなわれた。
 
記念塔は札幌駅からも遠望できるランドマークとなっており、周辺の多くの小中高校の校歌・校章にも使われている。それはすでに北海道の歴史の一部として定着しているのである。北海道に生まれ育った私にとっても誇りである。
 
ところが、道はこの記念塔を解体する計画を2018年に策定し、道民向けの広報紙に一度も掲載することのないまま計画を推進してきた。解体経費5億円超の契約がこの9月道議会で承認されれば、業者による解体作業が開始されるという段階に至っている。
 
私は8月末、自民党の「日本の尊厳と国益を護る会」の国会議員の視察団に同行して、立ち入り禁止となっている記念塔の内部を見る機会を得た。現地見学の際、塔の入り口の地面にはこれ見よがしに2メートルの鉄の板が置かれ、視察団を待っていた。塔から落下したものだという。
 

矛盾だらけの解体行政

これにはすぐに地元選出の議員から、その鉄片は塔の軀体(くたい)(本体)ではなく後から取り付けたものであることが指摘され、視察団に「老朽化」と「危険性」を印象付けようとした道庁幹部の子供じみた工作はあっけなく失敗した。塔の軀体は内部から見ても堅牢(けんろう)そのものでビクともしていない。解体するには鋼鉄の意志が必要だ。破壊を目指す情熱はどこから出て来るのか不思議でならなかった。
 
現地見学後の道庁幹部との意見交換会では、多数の疑念が議員から出された。解体に反対する市民グループの情報公開請求による調査を加味すると、道の計画・執行には次のような無数の疑惑が存在することが明らかとなった。
 
①道は10年間の保守管理計画を密(ひそ)かに打ち切り、ある時期から補修費を半額以下に減らした②今後50年間の維持費の総額が29億円(年間5800万円)になるという試算は積算根拠が欠けている③全体の7割を超える大規模修繕に経費内訳がない④競争入札にもかかわらず同じ業者が独占して調査を受託し、文言やデータをコピペして使い回している⑤そもそも調査実態がうかがえない―等々。業者と行政との癒着も疑われる。
 
設置後50年の記念塔の軀体に問題がないことは道も認めている。66年になる札幌のテレビ塔に解体の話など一度も出ていない。適切に補修すれば100年はもつ。
 
要するに、道は記念塔の管理・補修を意図的にサボり、解体のための世論工作の材料をつくり出そうとしてきたのだ。塔に隣接する北海道開拓記念館は北海道博物館に改称された。道は自ら「開拓」を禁句にして北海道開拓の歴史の抹殺を企図している。500万道民に対する裏切りである。
 

領土要求を呼び込む愚行

ロシアのプーチン大統領は、2018年、「アイヌはロシアの先住民族である」とし、ウクライナ侵攻後の今年4月4日にはロシアの野党議員がロシアは「北海道に(領土的な)権利を持つ」と発言した。
 
しかし、ロシアの南下が迫った江戸時代には、幕府と松前藩と東北6藩が多大の犠牲を払って蝦夷地を防衛してきた(中村恵子『江戸幕府の北方防衛』)。紛れもなく江戸時代の北海道は日本の領土だったのであり、この歴史を無視し、開拓の歴史を抹殺することは、ロシアの領土要求を呼び込む愚行である。
 
そもそもアイヌと和人は長い歴史を「共生」してきたのであり、私の子供時代の経験に照らしても民族対立など存在しない。和人のみならずアイヌの人々も開拓の恩恵を受けてきた。アイヌ団体の中に百年記念塔の解体に反対している人もいる。
 
今、百年記念塔解体工事の差し止めを求める行政訴訟の準備が道民の手で進められている。また、記念塔を有形文化財として申請する動きもある。これは北海道のローカルな問題ではない。日本にとっての差し迫った国防問題でもあることを強く訴えたい。(ふじおか のぶかつ)
 
 

北海道百年記念塔を守るための活動資金にご協力をお願いします。

北洋銀行厚別中央支店(店番486)普通4648744  『北海道百年記念塔を守る会』

PUBLISH

北海道百年記念塔を守る会 事務局
〒004-0055 札幌市厚別区厚別中央5条4丁目12-1若草物語 102号室
電話:050ー8885ー7488

MAIL info@100nenkinentou.fun